堺包丁 實光刃物へ
知人が修理にいく、というので便乗して大阪の「實光刃物」梅田リンクス店へ行ってきました。(じっこうはもの、と読みます。實は実の旧漢字です。)
實光の包丁は、知人宅で料理をしたときに少し借りていいなぁと思っていたのですが、今回行く!と決めたのは試し切りができるときいたから。鋼材で切れ味が違うとか、鋼材より研ぎの技術!とか、色々調べたら、実際どうなんだ?と自分で納得したくなった。
包丁屋さんとか、専門性の高いお店って敷居が高いイメージがあり、おいそれとは入れない…と思っていたが!今回は知人が修理に出すという理由があるのでハードルが下がりました(*'ω'*)
ひゃ〜
すごい…
海外でも良質の鉄がとれ、金属加工に優れた技術をもつ国はあるが、日本の刃物が世界一と呼ばれるのは、鋼材加工の技術に加え、持ち手を含めたデザイン性、そして研ぎの技術などなど、ものづくりにおいて妥協のない姿勢と細やかな感性によるものか。
和食の繊細さは日本人の感性の豊かさそのものだなぁと思うし、食べる人の感性があり、それに応える料理人の感性があり、そして道具作りでその技術を支えているのが刃物屋さんなんだなぁと感慨深くなる。
学生の時、道具をつくるのも技術のうち、とかで刃物を作る実習があった。ただの鋼の板を切り、削って研いで刃を付けて、小刀や小さな鉋を作った。
刃ってどうやってつけるん!?というレベルだったのだが、先生は何にも指導してくれず…(多分だが先生も教えるほどの技術が自分になかったので教えなかったのかもしれない。)完成したものを見て、ここがこうなってるんやねぇ、となんとか形にはしたが、絶対買った方がいいやん!という出来栄えだった。
今みたいにネットに情報があれば、もっとちゃんと興味を持って作れたろうなと思う。
包丁の鋼材は、いつの時代も、硬さと粘り強さを求められて今に至る。職人さんは1000度を超える火の前で叩いて延ばしてを繰り返して強度を出しているそう。
叩いたり、延ばしたり、加熱したり冷却したりで分子レベルの変性を操作してるらしい…。物理はあんまりちゃんと学んでこなかったので調べても私には難解なことが多いが、過去に包丁を炙って切れ味が落ちたのは錯覚ではなく本当に落ちていたのがわかりました…。
でもこの熱によって分子がどう、とかいうのを知識としてではなく、感覚と経験で理解してできたのが鍛造技術だと思うと、やっぱり最終的には数字より感覚なのが職人の世界なのかな。
(バレンタインのチョコ菓子を切るのに包丁を炙って切るといいって発信してるのをよく見かけたが、多分あんまり包丁にはよくない…食洗機にかけてる包丁が切れないのは水圧で磨耗するのかと思っていたが、熱によるものもあるのかな…?)
美しい包丁にニヤニヤがとまらない。
私はメガネをかけている。このご時世なのでマスクは当然つけている。今日は帽子もかぶっていて、友人が撮ってくれていた写真をみて自分で引きました…笑
ペティか菜切りが欲しいと思っていたのだが…結局この三徳を購入することに決定。店頭で試し切りをして形態、包丁の種類よりも切れ味優先な自分に気付きました。
三徳ってやっぱり優秀な形なんだなぁ。
青鋼スーパー、という、鋼材のランク的には一番上。正直そこまで良い鋼材を使っても、素人が家で使う分には違いがわからないのでは…と思っていたのだが…
めっちゃ違う…。ステンレスや他の鋼で切ったものとじゃ胡瓜の香りのたちかたが違っていました。
私はブログに料理を載せたりはしてますが、見せたい!って気持ちより日記という気持ちからです。
料理をするのは限られた予算で美味しいものを食べたいというのが始まりで、一人暮らしを始めた時も食費は月に7000円でした。今でもふきちゃんとふたりで楽しく暮らせたらいいなってだけの収入しか無い。(こないだ気の置けない友人にお給料の額を話したらすんごいビックリされました。笑 世間的にはかなりの低収入世帯みたいです。低収入なのに暮らしが豊かだと褒められました!(^◇^;)
贅沢な買い物だとは思ったが、低予算で、家庭でできる最高の美味しさを作るのが私の料理の信念だとすると、これは贅沢ではなく暮らしの道具だと思えたんです。
色々試し切りをして、握ってみて、持ってみて、とてもとてもしっくりきてしまった…。
他もみてもいいかな、って思ったし、今日買わなくてもいいかなと思ったけど、一旦別の用でお店を離れ、冷静になったら、やっぱり買おう!という気持ちになった。
試し切りの為にわざわざ店員さんが胡瓜を買いに走ってくれたり、すごく気さくに対応してくれ、しかも全然売ろう売ろう買わせようっていう押しもなく…だからこそこのお店で買いたいなって気持ちになりました。(アフターサービスも凄くお安くてビックリしました…!ちなみに實光さんは他社製品も研いでくれるそうです。おすすめです。)
切る私。たのしくなる私。
手がはしゃいでるなぁと自分で見て思う。
せっかくなので名入れをしてもうことにしたのでまだ手元にはありません。
砥石を買ったばかりですが、こうなると研ぎも頑張って向上せねば…。
少し調べてみたのだが、今まで感覚的に思っていたことを書き出して整理。
ピンピンの刃の方が切れる気がしますが、実は顕微鏡でみると細かな波線状になってる方が切れるんだそう。
簡易研ぎ器があくまでも簡易なのは、この刃の波を一時的に復活させるだけで両サイドからの削りによる鋭角はもどらず、むしろ先端だけを削り先がなくなるからみたい…。
あと先月買った包丁、切れるけど抜けが悪いのが気になっていたので小刃が自分に合ってないのかなと試しに研いでみたらするっと抜けるようになった。ものすごく些細なことでこんなに変わるのかと、研ぎにハマる人の気持ちがちょっとわかりました。
とりあえず元々使ってた安価な三徳やペティで色々実験的に研いでみようと思います。