兎徒然

うさぎのふきちゃんと、徒然なるままに日々を綴るブログ。

感覚を開く時間

 澪さん(包丁の名前)の実力が…

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 凄すぎて、長年作り続けた自分の味があっさりレベルアップしてしまいました…。

 この炊き合わせ、ほんとにいつも通りに炊いたのに…これはお料理屋さんで食べるちょっと上品な味に。(謙遜せずに自分でいう。なぜなら私の料理の腕のせいではなく、包丁と鍋のおかげであるから。)
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 今までの煮物だって、まぁまぁ家で食べるにはおいしい煮物でした。(これは私の腕ではなく、食材と出汁と鍋の実力である。)

 

 菜の花は鍋で蒸してあとから添えて。
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 なんていうか、前までのはそれぞれの野菜と出汁とが渾然一体と成り旨みがまざりあったスープでした。

 澪さんの煮物は、野菜がお出汁を吸い込んでるんです。だから、お出汁はすっきりと澄みわたり、噛むと人参の香りがパッと口に広がり、大根は甘味が深く深く…。

 これを食べて、私の今までの煮物は野菜の旨味が外へ流れていってしまっていたことに気付きました。

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 理科で維管束の実験をやったことを思い出しました。
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 キャベツの千切りしそドレッシング、春の炊き合わせ、蒸したじゃがいも、ふわふわ卵のスープ。

 

 あったかくなったので久しぶりにパンを焼きました。気づいたら一月パンを焼いてなかった。パンを作る暮らしをしてからこんなに間が空いたのは初めてです。それだけ寒さ厳しい冬でした。(あと色々疲れていた…)
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 ラベンダーとローズマリーとはっさくピールのライ麦入りパンです。ラベンダーの馨しい香りとローズマリーのすっきりした爽やかな香りを甘酸っぱいピールとともに。
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 ここでも澪さんが活躍!

 実は今回のクープ(焼成前にパンの表面にいれる切れ込み)は澪さん…スパあぁと切ってくれました。クープナイフっていうのがあり、ホルダーに剃刀刃をセットして使うのですが…今後は多分出番がなさそうです。

 クープは皮一枚を斜めに削ぐように切る、のが基本だとわりと本でみるんですが、私のパンは水分が多いので深いクープが必要なのです。クープナイフではなく切れる普通の包丁でよかったな( ´ ▽ ` )

 

  春の気配に、ぬか床も久しぶりに、と蓋をあけたら真っ白に!
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 一瞬、カビ!?と怯みましたが、カビの匂いはないなぁ、と調べたら産膜酵母というもののようでした。発酵が促進されてる状態だそうで、茄子を漬けたらすっごくすっごく美味。
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 ご馳走になる茄子のぬか漬け。

 これもスーっと切れるのが気持ちよく…目が覚めるような紫が滲む…。この色の絵の具が欲しくなる。

 私は感覚を刺激されることが好きだ。

 感覚を研ぎ澄ます、という言葉があるが、現代社会は感覚を閉ざさなければ通れない人生の場面も多々あり…、そんな日々を過ごすうちに、感覚は開かないと機能しないようにも思う。

 匂いや味も、そのひとつだ。

 歳とともに、なのか、都会暮らしの環境からか、多分私の感覚も鈍くなっていっている。

 包丁はそんな感覚を開く時間をくれるように思う。切れ味を感じたり、砥石にあてたり、匂い、味の変化を感じる時間をくれた。

 私は、小さい頃大根の味噌汁が好きだった。

 朝ごはんは欲さない子どもだったが、冬の朝の大根の味噌汁だけは美味しくて、湯気の香り、手に持ったお椀の熱、おつゆの味に、大根を噛んだ時の甘味をよくよく覚えていて。ただあの大根の味噌汁は、自分が作ってもでない味だった。記憶の美化かと思っていたが、澪さんで切った大根を使うと、懐かしいあの味が作れてしまった。